個人投資家はリバランス不要

日経平均株価が史上最高値の39,098円を記録したからか、リスク取りすぎ論が飛び交っている。

個人投資家にとっては、 機関投資家のようにリスク資産と無リスク資産を比率で管理する意味はない。


例えば、全資産2000万円持っている人が次の2つの条件で投資を始めると仮定する。

 条件1)最低でも全資産が1500万円を下回らないように資産を管理したい。

 条件2)リーマン級のショックが来た場合、リスク資産は最悪の場合半分になると仮定する。


 例1としてこんな場合はどうか。 

開始→リスク資産2000万、無リスク資産0、合計2000万

リーマン級後→リスク資産1000万、無リスク資産0,合計1000万

 これでは条件1)より合計資産が500万円少ないので、もう少し無リスク資産を持っておいた方がいいことになる。 


 例2として 

開始→リスク資産1000万、無リスク資産1000万、合計2000万

リーマン級後→リスク資産500万、無リスク資産1000万、合計1500万

これは条件1)に当てはまりちょうど良い感じ。そこで、この人がリスク資産と無リスク資産を常に1:1に維持したらいいのだという結論を出すと、それはちょっと早合点だ。


例えば、例2の場合で 運用を始め、10年後にこうなったとする。

リスク資産2500万、無リスク資産500万、合計2500万

この場合にリーマン級の下落が来て、こうなったとする。

リスク資産1250万、無リスク資産500万,合計1750万

条件1)は全資産が1500万円を下回らないことだから、リーマンショック級の下落局面でも資産合計が1750万となり、1500万を下回ってないので、これでいいのだ。

10年運用後にリスク資産と無リスク資産の比率が3:1になったが、これでいいのだ。リスク資産と無リスク資産の比率が3:1になっていたからといって、「リスク取りすぎ、危ない!リバランスしなくては!」と脊髄反射してはダメだということ。

10年前にリスク資産と無リスク資産を1:1でスタートしたのだから、10年後もリスク資産と無リスク資産のバランスは1:1のまま維持しなくてはならない、というのは個人投資家にとっては必要ない。 

例2の場合に10年後にリバランスしてリスク資産と無リスク資産を1:1にした場合だと、こうなる。

リスク資産1250万 無リスク資産1250万 合計2500万

その後にリーマン級のショックが来て、こうなる。

リスク資産625万 無リスク資産1250万 合計1875万

「リバランスしておいて助かった。リバランスしてなかったら125万もさらにマイナスになるところだった」と安堵するのか?

これをさらにリバランスして、

リスク資産937.5万 無リスク資産937.5万 合計1875万

とした場合と、そもそもリバランスをまったく行わず、

リスク資産1250万、無リスク資産500万,合計1750万のまま、運用を続ける場合と、どちらが早く、もとの2500万に回復するのか。

むしろ、リーマン級のボラティリティが発生しているときに、平気でリバランス、つまりリスク資産を売買するメンタル面での余裕があるのか。非常に難しいことではないかと思う。


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